研究課題/領域番号 |
17720118
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語学
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
宮下 治政 鶴見大学, 文学部, 准教授 (30386908)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 目的語転移 / 英語史 / 本土スカンジナビア諸語 / 統語論 / 動詞移動 / 弱代名詞 / 接語代名詞 / 冠詞 / ミニマリスト・プログラム / 人称代名詞 / スカンジナビア言語 / 他動詞虚辞構文 / 文体的前置 / 中英語 / 言語変化 / 言語習得 / 語順 / 動詞第2現象 |
研究概要 |
前年度までの研究によって、スカンジナビア諸語に特有の目的語転移(以下OS)の英語史における出現時期・消失時期・派生のされ方が明らかにされたが、OSの出現・消失の原因は未だに明確ではなかった。本研究では、さらにこれらを明らかにした。特にOSのアイスランド語(以下Ic)タイプと本土スカンジナビア諸語(以下MSc)タイプの違いは、OSが適用される定名詞句目的語に定冠詞が存在するか否かに起因することが前年度の研究によって明らかになったが、これにより、MScタイプのOSに必要な条件が明確になった。 (1) 動詞句(v*P)内からTへの定形動詞の移動 (2) 代名詞パラダイムにおける弱代名詞(接語素性を持たないD^0)の存在 (3) 定名詞句目的語における定冠詞の存在 上記3つの要因が揃って初めてMScタイプのOSが可能となる。 まず、14世紀後半におけるMScタイプのOSの出現は、(2)が可能になったことに起因する。初期中英語においては接語代名詞が観察されるが、後期中英語においてはこれが消失し、代わって弱代名詞が台頭してくる。(1)および(3)は、後期中英語において既に確立されているため、(2)が可能になることによって、MScタイプのOSが必然的に可能になり、その帰結として、これが出現することになる。 また、17世紀後半におけるMScタイプのOSの消失は(1)が不可能になったことに起因する。定形動詞のTへの移動は初期近代英語以降衰退の一途を辿り、後期近代英語には消失している。MScタイプのOSは、既述のように上記(1)〜(3)の要因が揃うことによって可能になるが、これらの内の1つでも欠けてしまうと、OSは不可能になり、消失することになる。 上述のOSの出現および消失は、いずれも文法(特に統語論)内の独立した変化によって誘発されることが明らかになった。
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