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ロシア中世国家における権力の正統性の確立の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17720182
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 西洋史
研究機関北海道大学

研究代表者

宮野 裕  北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教 (50312327)

研究期間 (年度) 2005 – 2007
研究課題ステータス 完了 (2007年度)
配分額 *注記
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
キーワードモスクワ大公国 / ロシア / 権力 / イヴァン三世 / 大公裁判権 / 正教会 / フェラーラ・フィレンツェ会議 / 1497年法典 / イヴァン3世 / ビザンツ / イヴァン雷帝 / ヨシフ・ヴォロツキー / ノヴゴロド / フェラーラ / 中世史 / 法典
研究概要

15世紀後半に広大な領域を確保したモスクワ大公国はその存立を正当化することにより、ルーシの地の盟主としての正統性を不断に主張せねばならなかった。同じ状況は、ヴァシーリー2世時代のいわゆる内戦期にも生じた。ヴァシーリーはモスクワを中心としたその所領回復を伝統的正当化し、ダニーロヴィチ(上記ダニールの子孫)の正統的後継者であることを主張した。
同様の事例は、コンスタンティノープル陥落以降のモスクワの態度にも表れている。モスクワは正教国家の正統的後継者としての意識を持ち始めた。もちろんこれは自然に実現するわけではなかった。隣国リトアニアもまた、正教国家としてのアイデンティティの確保に努めていた。そうした中で、モスクワは、おのが正統性を不断に主張する必要に迫られた。
正統性の正当化は、国家及び国家権力の専売特許ではなかった。正教会においても同様の事例が見受けられた。本研究では、15世紀末に修道院長ヨシフ・ヴォロツキーが行ったおのが立場の正当化について検討された。キリスト教を正統的イデオロギーとする世界においてその教義を巡る正統と異端の問題は当事者にとって深刻な問題であった。当時生じた修道制批判を受け、ヨシフはある程度それに対応して改革を行うと同時に、批判者こそが異端であるとする言説を作り出し、それによって自らの正統性を確保した。
最後に、異なる角度から正統性の問題を考えてみたい。すなわち、モスクワは1497年に初めて全国法典を公布した。その作成の際に、編者たちは、単にモスクワにおいて伝統的であった法規範をまとめたわけではなかった。上述のような、これまで最低でも二百年程度にわたり異なる国家に属してきた領域が大半である中で、モスクワはおのが法をそうした地域に押しつけることをせず、ビザンツの世俗、教会法、また全ルーシ的法規範(成文・慣習法を含め)のなかから、モスクワに受け入れられる「正統的」法規範を選択し定めたのである。

報告書

(3件)
  • 2007 実績報告書
  • 2006 実績報告書
  • 2005 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2008 2007 2006 2005 その他

すべて 雑誌論文 (6件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 15世紀前半のモスクワにおける大公裁判権の回復2008

    • 著者名/発表者名
      宮野裕
    • 雑誌名

      中世ロシアの法と社会 24

      ページ: 25-46

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [雑誌論文] イヴァン三世の1497年法典における多文化性2007

    • 著者名/発表者名
      宮野裕
    • 雑誌名

      ロシア史研究 80

      ページ: 4-13

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [雑誌論文] 『新出の異端に関する物語』覚書2006

    • 著者名/発表者名
      宮野裕
    • 雑誌名

      西洋史論集 9

      ページ: 62-91

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 新刊紹介 「П.С. Стефанович, Приход и приходское духовенство в России в XVI-XVII веках., М., 2002. 349c」2006

    • 著者名/発表者名
      宮野裕
    • 雑誌名

      ロシア史研究 78

      ページ: 118-118

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 15世紀末のロシアにおける修道制批判とヨシフ・ヴォロツキーによるその処理方法2005

    • 著者名/発表者名
      宮野裕
    • 雑誌名

      西洋史論集 8

      ページ: 1-24

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] イヴァン四世雷帝の「一五五〇年法典」---訳と訳注(一)---2005

    • 著者名/発表者名
      栗生沢猛夫
    • 雑誌名

      北海道大学大学院文学研究科紀要 116

      ページ: 115-185

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [学会発表] 15世紀モスクワにおける『殺人に関する覚書』2007

    • 著者名/発表者名
      宮野裕
    • 学会等名
      中世ロシアにおける法と社会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2007-08-25
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/coe21/publish/no24/contents.html

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書

URL: 

公開日: 2005-04-01   更新日: 2016-04-21  

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