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ヨーロッパ活版印刷初期における筆写工房の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17720184
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 西洋史
研究機関東北大学

研究代表者

小川 知幸  東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (70312519)

研究期間 (年度) 2005 – 2007
研究課題ステータス 完了 (2007年度)
配分額 *注記
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
キーワード西洋史 / 文献資料学 / メディア論
研究概要

活版印刷術の成立した15世紀のヨーロッパでは、これに伴う情報の伝達や共有によって読者層・教養層が飛躍的に拡大するとともに、新たな「知」の交流が始まる。知識人と広汎な読者層との情報交換は時間的・空間的な認識を広げ、ついには世界認識そのものを変革するにいたった。このようなメディア革新の最初に位置づけられるのがエルザスのディーボルト・ラウバー筆写工房である。同工房は写本を分業体制により量産して、その価値を維持しまた高めながら、在地貴族の親族ネットワークをつうじて、チューリヒ、コンスタンツ、ヴュルツブルク、ニュルンベルク、オーストリア、そしてライン川下流域にまでおよぶ広い範囲に読者を獲得した。
本研究では、のべ3カ月半にわたる実地調査によって、同工房にかかる現存する写本のほぼ完全なリストを作成することができた。それらの写本のテクストやインク、用紙、装丁、挿画などの丹念な分析を行うことで、工房の写本にはこれまで知られていなかった3つの様式区分が存在すること、そしてこれはそれぞれ対象となる読者層に対応すること、また写本生産の初期の動因として、在地貴族のフェーデ行為があったことなどを明らかにした。とくにインキュナブラとの相違点として、所有者がおもに貴族の女性であったことを挙げることができるが、写本を制作し読書集会において披露することで女性もフェーデに参加したのである。これは初期の書物の機能として重要な発見であった。
また当初から様式が統一され、貴族の女性の財産となったことで、写本は量産品ながらいわばブランド的価値を帯びた。これにより、安価な代用品にすぎなかった印刷本の欠陥が補われ、書物の普及に拍車をかけた。したがって近世以降の書物メディアの基本構造は、ラウバー工房により考案されたものだといえる。以上の研究の成果は学会で報告し、図書の一章として出版した。

報告書

(3件)
  • 2007 実績報告書
  • 2006 実績報告書
  • 2005 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 鉱山(やま)の仕事はきわめて誠実な職業である-アグリコラ『デ・レ・メタリカ』2007

    • 著者名/発表者名
      小川知幸
    • 雑誌名

      木這子 Vol.32,No.2

      ページ: 1-9

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [雑誌論文] 中世後期の手写本制作 -15世紀におけるハーゲナウのラウバー工房-2007

    • 著者名/発表者名
      小川 知幸
    • 雑誌名

      木這子 Vol. 31,No. 4

      ページ: 1-10

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] ハイデルベルク大学図書館と15世紀の手写本-Die Handschriften Diebold Laubers in der Universitasbibliothek Heidelberg-2006

    • 著者名/発表者名
      小川 知幸
    • 雑誌名

      木這子 Vol.30, No.4(予定)

      ページ: 10-20

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [学会発表] なぜその手写本は大量生産されたのか-15世紀活版印刷初期における筆写工房2007

    • 著者名/発表者名
      小川知幸
    • 学会等名
      西洋史研究会2007年度大会
    • 発表場所
      青山学院大学
    • 年月日
      2007-11-24
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [図書] ソシアビリテの歴史の諸相2008

    • 著者名/発表者名
      小川知幸
    • 出版者
      南窓社
    • 関連する報告書
      2007 実績報告書

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公開日: 2005-04-01   更新日: 2016-04-21  

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