研究課題/領域番号 |
17720196
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
林田 敏子 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (10340853)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 西洋史 / イギリス史 / ジェンダー / セクシュアリティ / 第一次世界大戦 / 警察 / フェミニズム / レズビアニズム / 階級 |
研究概要 |
第一次世界大戦期のイギリスでは「カーキ・フィーバー」と呼ばれる制服熱が高まり、多くの女性が制服を着用する職業に殺到した。女性による制服の着用は、愛国心を表明する手段として社会の一定の理解を得る一方、男と女の境界を侵犯する行為として危険視された。本研究では、イギリス初の女性警察組織(Women Police Service:WPS)の制服をめぐっておこなわれた裁判を通して、大戦期におけるジェンダーとセクシュアリティの問題について考察した。裁きの主たる対象となったWPSの指導者M・アレンにとって、制服は旧来のジェンダー秩序を打ち破り、男性の領域に進出する道具であると同時に、自らの性的アイデンティティ(レズビアニズム)を表現する手段でもあった。 本研究では、当時のイギリスで、レズビアニズムという概念がまだ流布していなかった事実に注目し、性科学の分野で女性同士のホモセクシュアル行為がどのようにとらえられていたのか分析するとともに、そうした概念が知的フィールドを越えて社会に広まった契機・背景・過程について考察した。制服裁判は、アレンのセクシュアリティを「暴露」することによって、レズビアニズムが概念化されるきっかけをつくるとともに、男性だけでなく女性のあいだにもホモセクシュアルの関係が成り立つとする点で「性的平等化」の契機にもなりうるものだった。第一次世界大戦は「レズビアニズムの発見」というもっとも極端なかたちで、女性のセクシュアリティに関する規範を破壊し、従来のジェンダー秩序に大きな修正を迫ったのである。 以上の成果をもとに、研究会で口頭発表(於「越境する歴史学」2007年11月11日)をおこなった上で、論文「制服の時代-第一次世界大戦期イギリスにおけるジェンダーとセクシュアリティ-」を執筆し、『西洋史学』(日本西洋史学会)に投稿(2008年2月)した。
|