研究課題/領域番号 |
17730022
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大脇 成昭 熊本大学, 法学部, 助教授 (30336200)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 独自条例 / インセンティブ / 財政法 / インセンティヴ |
研究概要 |
本研究の主眼は、政策目的の「実効性」に重点を置いた理論構築を目指すことである。計画二年目(最終年)の本年は、昨年の予備的作業をもとに、研究論文を完成させた。 近時の地方公共団体における独自制度の動きは、限られた財政的・人的リソースのもとで、いかに実効性のある制度を構築しうるかという点に関心が集まっている。そこで昨年は、いわゆる経済的インセンティヴ手法をはじめとする誘導的手法一般についての最近の状況を調査した。 本年はそのような手法の基礎となりうるものとして、ドイツの民営化誘導策などを取り上げ、考察を深めた。この仕組みは、規制的手法や何らかの財政支出を伴うのではなく、一定の政策を実現するための「圧力」を法令の条文に盛り込んでおくことによって、目的を達成しようとするものである。そこでこのような仕組みがいかなる時代背景のもとで登場したのかを、議会と行政権の力関係の変遷にまでたどり、明らかにした。すなわち、従前、議会が支出の増大に抑制的に作用していた状況から、逆に議会の財政支出要求を行政権が押しとどめるように至った状況を考察した。ここに至り、行政権(政府)が一定の政策を誘導する素地ができたことになる。 このような背景のもと、ドイツの連邦法律は、連邦政府のみならず州政府に対しても民営化を推進するように意図されたものとなっている。重要な点は、財政支出を伴うことなく、「実効性」のある政策実現を達成することにある。しかしながら、ここには自ずから法的な制約が存在することもドイツでは指摘されてきたのであり、この点を考察した。 以上のような試みは単に財政状況を好転させるための歳出抑制という効果を越えて、行政運営の透明性確保、説明責任の明確化という成果をももたらすことを明らかにした。行財政運営の透明化が求められる日本の地方公共団体にも有用な視点であると考えられる。
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