研究課題/領域番号 |
17730061
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
嶋 拓哉 信州大学, 大学院法曹法務研究科, 助教授 (80377613)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 民事法学 / ファイナリティ / 電子決済システム / 当事者間完了性 / 対第三者完了性 / 債務完了性 / ファイナリティ概念の多義性 / 当事者間完結性 / 米国統一商法典(UCC) / BISコア・プリンシプル / 日中ファイナリティ / 中央銀行マネー / エッセンシャル・ファシリティ原則 / 透明性の確保 |
研究概要 |
決済完了性としてのファイナリティ概念を、当事者間完了性と対第三者完了性に分けて議論を行った結果、当事者間完了性としてのファイナリティ概念は、民間時点ネット決済システムにおけるリスク管理の強化という問題について中央銀行マネーを活用する形でその解決に寄与した一方、対第三者完了性としてのファイナリティ概念は、決済システム参加者の倒産という局面においてすら、既に入力された支払指図の処理を貫徹させることを可能とし、システミック・リスク削減に貢献したことが判明した。また、対第三者完了性としてのファイナリティ概念については、【○!イ】ネッティングの第三者に対する法的拘束力の確保、【○!ロ】倒産手続の遡及的効力の制限、【○!ハ】担保の実行を妨害する事項の除去という3つの観点から検証を行った結果、当事者の倒産という局面において決済の不可逆性を確保するための重要な法概念であると位置付けた。その上で、欧州連合指令の存在や対第三者完了性としてのファイナリティ概念を巡る我が国の混乱した状況を踏まえるに、決済完了性(settlement finality)と債務完了性(obligation finality)が異なる概念であるとの認識は、対第三者完了性としてのファイナリティ概念の射程を明確に画するという意味において重要であり、むしろ、契約レベルにおける債権債務関係の最終的な確定という問題にまで当該概念を用いることは、その射程を超えており、逆に当該概念の希薄化を招きかねないと結論付けられる。最後に、当事者間完了性としてのファイナリティ概念と第三者である銀行顧客との関係については、英国の最新判例等を踏まえて、当事者間完了性が顧客と銀行との口座開設契約を通じて、当該顧客に影響を及ぼす可能性があるとした上で、特に近年では銀行間における即時グロス決済が顧客口座への入金時点の判断に大きな影響を及ぼし得るとの結論を導いた。
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