研究課題/領域番号 |
17730063
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田高 寛貴 名古屋大学, 大学院法学研究科, 助教授 (60286911)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 担保 / 担保権実行 / 抵当権 / 譲渡担保 / 留置権 / 実行手続 |
研究概要 |
(1)担保権実行に関する実態の調査・分析 担保法は、実務が先導する形で発展してきた法領域でもあり、体系的、理論的な分析を加えるうえでも、その前提として、現実の取引社会における担保権の運用を把握し、問題点を抽出していくことが不可欠となる。そこで、実務家から意見を聴取し、あるいは、アンケート集計結果等を利用しながら、その利用実態の把握に努めた。不動産市況の好転により、大都市圏では、不動産競売の実績は順調に推移している維果、収益執行は思ったほどには利用されていない。他方、地方では、なお不動産競売には厳しい環境が続いているが、収益執行が多用されているとは言い難い。担保・執行法改正の成果については、その評価に難しいものがある。また、新たな資金調達手段も次々と生み出されているが、債権流動化による資金調達は、必ずしも中小企業にとって利用しやすいものとはなっていない。経済社会を支える大規模な企業や事業では、担保における種々の展開がみられる反面、なお有用な担保手段が見いだされない闇の側面もある,ことが浮き彫りとなった。中小企業の資金調達に有用となる制度の創設が一層望まれるところといえる。 (2)比較法的考察-アメリカ法の視点から 比較法の対象として、主としてアメリカをとりあげ、研究をすすめた。アメリカでは、動産担保については統一商法典(UCC)に、私的担保権実行を原則とする諸規定がおかれている。このうち、UCCに規定された動産担保制度については、わが国でもこれまでに紹介がなされているが、州法への採用や実際の運用状況については、必ずしも明らかとはなっていない。本年度は、前年度に引き続き、関係諸文献を手がかりとして研究をすすめてきたが、アメリカでは、UCCの動産担保制度は、包括担保(企業担保・財団抵当)としてむしろ利用されていることが明らかとなった。わが国では、包括担保法制が十分に機能しているとはいえず、とくに担保権の実行方法に関しては、アメリカ法に学ぶところが大といえる。
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