研究課題/領域番号 |
17730065
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 裕樹 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (90372523)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 法的結合 / 契約の目的 / 契約解除 / 定期行為 / 民法542条 / 複合契約 / 同時履行の抗弁権 / 民法533条 / 相殺予約 |
研究概要 |
本研究は、法律関係を構成する諸要素に何らかの法的な結合関係が承認される状況において、そうした法的結合関係を正当化する理論的基礎の解明を最終的な目的として、様々な個別事例における法的結合関係に関わる議論の理論的分析を行うものである。本年度は昨年度に引き続いて、いわゆる複合契約の解除に関する契約の目的の重要性との関連において、契約の解除を巡り契約の目的を規律内容に取り込んでいる民法542条の沿革を解明すべく、同条の母法であるスイス法の調査・分析を中心に研究を進めた。同条を解釈するに際し、伝統的通説はドイツ法学の影響の下で、定期行為を絶対的定期行為と相対的定期行為に分けて理解しつつ、契約解除の正当化根拠を契約目的達成可能性の喪失に求めてきた。その上で、債権者による契約解除の要件の一つとして、債務者側の帰責事由も必要と解してきた。しかし、スイス債務法は、定期行為概念を先の相対的定期行為に限定しながら(OR108条3項、旧OR123条)、履行遅滞による給付の無益性を根拠として無催告解除を容認する規定(OR108条2項、旧OR125条)も置いている。また、これらの規定による解除のために、債務者の帰責性は要件とされていない。こうしたスイス解除法の理論的な分析は、伝統的通説による理解を相対化し、民法542条の新たな解釈を探ることは、「契約目的不到達」を理由とする解除の一般的可能性や日本債権法改正を検討する上で有益であると考えられるところであり、研究をより精査したのちに成果を公表したい。 また、本年度においては、相互に給付を請求しあう関係にない者がそれぞれ有する債権間に同時履行関係が認められるための理論的可能性を検討し、民法533条の制度趣旨に立ち返って、一定の場合に同時履行関係を認めるべき旨を主張した。
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