昨年度実施した聴取り及びアンケート調査の結果を前提に検討し、以下のような結論に達した。 自動車販売において、契約形態については、所有権留保の利用を前提に、どの程度のコストを誰が負担するかという点から販売システムが構築されていることが明らかになった。しかし、自動車抵当に対する問題指摘は「動産」に由来するものであり、所有権留保や譲渡担保が利用されても問題が回避されるわけではないことから、「担保方法」に由来する問題点を検証する必要がある。実務で「なぜ自動車抵当が利用されないのか」という点を、当事者の担保方法選択に対するインセンティブから検討し、所有権留保に比して、抵当権の利用は双方にとって契約時に時間や手間などのコストがかかること、設定者に処分権があること、抵当権者は引渡請求ができないこと、が制度から生じるコストとして忌避されているとの結論に達した。実行時のコストと同様に、契約時に当事者が意識するコストも考えることは、ある法制度のどの点が社会でどの様に捉えられているのか、を明らかにすることができる。 また、価値の追及に関連して、改正動向があることから韓国における根抵当の調査、最高裁判決を受け集合物論に関する検討を行った。
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