研究課題/領域番号 |
17730096
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
大黒 太郎 福島大学, 行政政策学類, 助教授 (20332546)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | オーストリア現代政治 / 極右政党 / 政党政治 / 福祉国家 / 制度改革 / 年金制度 / 医療保険 / 右翼政党 / オーストリア自由党(FPO) / 福祉政策 / 政策転換 / 連合戦略 |
研究概要 |
本研究の目的は、「極右」政党を組み込んで新たに登場した右派連合政権の年金・医療保険制度改革において、「極右」政党が独自に果たしたインパクトを、オーストリアの国民党・自由党連合政権の政策転換を事例に、ドイツなどの社会民主主義政党が政権の基軸に座る諸国との比較のなかで確定することである。 今年度は、シュッセル政権第2期の4年間の改革の実施経過を跡付けるとともに、合計6年間の総体としての福祉制度改革のプロセスを明らかにし、左翼政権主導で90年代に同様の課題にとりくんだドイツとの比較で位置づけることで、オーストリアにおける制度改革の独自性と「極右」政党が果たした固有のインパクトを確定することに取り組んだ。 1.第一に、保守政党と「極右」政党との政策的な近接性が再確認された。自由党の独自性は、移民政策や文化政策において特徴的に示されてきたが、「年金・医療保険制度改革」においては、独自の包括的なプランを提示できなかった。このことは、政権政策としては、「ネオリベラル政策」と「家族の価値」という国民党の構想がその主導的な役割を果たしたことを意味するが、他方で、(大連合政権と比較して)政府内の政策的凝集性を高めた。 2.「既得権益」批判を党勢拡大の最大の源泉としてきた「極右」政党は、社会団体との関係を重視して大胆な政策転換を躊躇しがちな国民党に対し、連合与党内部から圧力をかけ続け、また、国民党もその圧力を時に利用して改革を推進した。 すなわち、「極右」政党の政権参加とそれによる右派連合政権の成立によって、連合政権内の凝集性が獲得され、既存の利益構造の大胆な組み換えが、よりラディカルな福祉制度改革へと結びついたといえよう。 本研究の柱のひとつであったドイツなど、左派主導で福祉制度改革を進めた諸国との比較分析は、今年度中には十分に展開できなかった。今後の課題としたい。
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