研究課題/領域番号 |
17730125
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際関係論
|
研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
池内 恵 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (40390702)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | メディア / アラブ / 中東 / テロリズム / イスラーム |
研究概要 |
最終年度となる平成18年度は、(1)前年度に引き続き、日本国内でインターネット放送等を通じたアラビア語衛星テレビ放送の受信・情報収集を続けつつ、(2).エジプト・カイロでの現地調査によって視聴状況の近年の変化を観察し、(3)分析結果を暫定的に学会で発表しつつ、論文としてもまとめた。(1)依然として日本国内での、アラビア語衛星放送の受信をめぐる環境条件は極めて悪いことが確認された。アラブ圏に限らず、北米や西欧諸国で大部分のアラビア語衛星放送が容易に受信される状況との対象は著しい。欧米諸国では受信だけでなく、アラビア語衛星テレビ放送に対して積極的に働きかけることによって情報発信を活発に行う傾向が見られるのに対して、日本がアラビア語衛星テレビ放送による報道の対象となることは極めて稀である。北米・西欧諸国のイスラーム教徒をめぐる状況はアラビア語衛星テレビ放送の主要なコンテンツの一つともなっている状況下で、日本は特にアラビア語メディア空間における存在が希薄となっている状況が確認された。(2)の現地調査によって、アル=ジャジーラが多チャンネル化を進め、英語チャンネルやスポーツ・チャンネルを備えた総合メディア産業として成長している点が確認された。また、アラビーヤも多チャンネル化を進め、各国の国営メディアの地盤沈下は著しい。また、各国の政府による規制は依然として強いものの、番組の視覚的デザインや、内容構成に関して、アル=ジャジーラを模倣する現象が強く見られた。アル=ジャジーラによるアジェンダ・セッティングの機能がかなり顕在化したものと見られる。ムハンマド諷刺画問題やローマ法王発言への批判が、アル=ジャジーラでの報道によって社会問題と転化した点が観察された.また、イラク国内に新たに設置された衛星テレビ局が、固有の民族・宗派構成と対立の状況を反映して、党派的様相を濃くし、それが一層の宗派・民族対立の扇動につながっている点が指摘できる。これらの調査活動から得られた知見は、暫定的に、日本比較政治学会の平成18年度研究大会(10月8日、立教大学)の分科会F「メディアと政治体制」で「アラブ・メディアの変容と政治体制」と題した報告で発表した。その内容は「アラブ・メディアは中東政治を変えるか」(『アステイオン』第65号)として刊行した。上記の成果物は中間報告的な意味を持ち、近日中に、詳細な単行本として成果をまとめなおす予定である。
|