研究課題/領域番号 |
17730130
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
理論経済学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中嶋 智之 京都大学, 経済研究所, 助教授 (50362405)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 資産価格 / 開放経済 / 流動性の罠 / 金融政策 / 価格粘着性 / 非完備市場 / 価格硬直性 / 失業 |
研究概要 |
まず、日本の資産価格の変動に対する研究を"Asset price fluctuations in Japan:1980-2000"という論文にまとめた。そこにおいて、全要素生産性の成長率に対するadaptive expectationsを仮定することで、1980年から2000年にかけての日本の地価の変動は、標準的な新古典派経済成長モデルによってうまく説明できることを示した。続いて、名目金利がゼロ以下には低下し得ないことから生じる「流動性の罠」とよばれる現象に関して、開放経済価格粘着性モデルを用いて分析を行い、"Liquidity trap and optimal monetary policy in open economies"という論文にまとめた。そこにおいて、特に、望ましい名目為替レートの変動に関して、既存研究と異なる結果が得られたが、その点について理論的な考察を行った。更に、前年度からの継続研究として、失業保険が不完全な結果非自発的失業が生じるようなモデルにおいて、望ましい金融政策がどのようなものとなるかについて分析を行い、"Optimal monetary policy with imperfect unemployment insurance"という論文にまとめた。そこにおける主要な結論は、非自発的失業の存在それ自体は、必ずしも、望ましい金融政策の性質に大きな影響を与えないということである。例えば、非自発的失業が存在しても、もし失業というリスクに対する保険の度合いが景気循環上でほぼ一定であるならば、そこにおいて導かれる最適金融政策は完備市場において導かれるものとほぼ一致する。すなわち、金融政策は物価の安定のみに焦点を絞るべき、という結論が得られる。しかし、失業というリスクに対する保険の度合いが景気循環上でcountercyclicalに動いているのであるなら、非自発的失業のもとでの望ましい金融政策は、より生産量の安定にウェイトを置くべきであるというインプリケーションが得られる。
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