配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本年度は,税収中立改革が失業,環境,世代間および世代内の厚生に与える効果を分した.具体的な分析の枠組みは以下のとおりである.Diamndタイプの世代重複モデルに(i)資本の外部不経済および(ii)組合の独占的な賃金決定による失業の存在を導入し,税収中立の制約のもとで,労働税減税と環境税導入をセットにした改革(税収中立改革)が失業,環境,世代間および世代内厚生に与える影響を分析した. 分析の結果,次のことが明らかになった.(i)税収中立改革は,雇用と環境の改善をもたらす.(ii)定常状態に注目すると,税収中立改革はある条件のもとで失業者,就業者の非環境効用(消費からの効用)を改善する.(iii)税収中立改革を開始した時点の老年世代に注目すると,環境税導入がもたらす利子率の低下によって彼らが受け取る貯蓄のリターンが低下し,老年世代の非環境効用が低下する.これらの結果は,税収中立改革が世代内の厚生改善には成功するが,世代間トレードオフをもたらすことを示している. この研究結果は,先行研究のChirolue-Assouline and Fodha(2005,Environmental and Resource Economics)と大きく異なる.彼らの分析では,環境税改革開始時の老年世代の厚生も改善することが示されており,改革はある条件のもとで世代間公平性を維持することが指摘されていた.彼らの研究との違いは,外部不経済の仮定が異なることによる.彼らは家計の消費が外部不経済をもたらすと仮定しているため,消費に対する環境税の導入は,老年世代の貯蓄リターンに影響をもたらさなかった.それに対して本研究では,企業が投入する資本が外部不経済をもたらすと仮定しており,資本に対する環境課税が資本の限界生産性を通じて利子率の低下をもたらすことが示された.
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