研究課題/領域番号 |
17730140
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
理論経済学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
工藤 教孝 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80334598)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 経済理論 / 金融論 / 財政学 / 情報の経済学 / デフレーション / 限定合理性 |
研究概要 |
1. 具体的内容 本研究では、経済の構造を正確には知らない経済主体からなるマクロ経済モデルを出発地点として、それを金融市場に応用することで、デフレ、バブル、長期不況など日本経済に深く関わる現象について解明することが目的であった。本研究によってデフレについての理解が進んだのみならず、金融政策運営について重要な知見が得られた。仮に、非常に強い意味で独立な中央銀行が金融政策運営を行っていたとしても、不景気などの理由で低金利政策を進めた場合に意図しない形で政府国債を買い支えることになることが判明した。この成果は2007年に国際学術誌に掲載された。また、経済の構造を学習しながら意思決定する経済主体についても研究が進んだが、同時にその方向性の限界も見えてきた。具体的には、統計的に学習をする経済主体を考察したのだが、モデルの動学経路の計算には大いに役に立ったが、既存のモデルと同じ均衡に最終的には収束してしまうことが明らかとなった。この点については今後のさらなる研究が必要である。 2. 意義 本研究によって明らかにされた成果の意義は大きい。特に、今までは財政規律の欠如が金融政策に影響を与えるのは中央銀行が独立でないからだと考えられてきたが、本研究成果によって、中央銀行の独立性だけでは財政からの影響を断ち切れないことが判明したからである。 3. 重要性 ノーベル賞受賞者のロバート・ルーーカスは「合理的期待」という考え方を用いてマクロ経済学を書き換えた。それから30年が過ぎ、合理的個人を前提としたマクロ経済学は完成している。今後はルーカス後のマクロ経済学の新しい方向性を提示することであり、本研究はその意味で時代を先駆けたものである。本研究期間に作ったネットワークを生かし、今後は主に共同研究プロジェクトとしてこのテーマを追求していく予定である。
|