研究概要 |
19年度は,第1に昨年度から開始していた農薬の供給サイドの実証分析を完成させた。農薬工業会にヒアリングを実施させていただき,農薬産業の状況を把握した。そのうえで,農薬メーカーの市場参入行動とその要因の分析を精緻化した。昨年度までにかなり明らかになっていた組織形態との関連に加えて,農薬市場が種々の規制や流通慣行があるにもかかわらず,競争的であることが明らかとなった。この論文は,アメリカのSouthern Economic AssociationのThe 77th Annual Conferenceで報告を行った。 次に,供給が競争的に行われていることが明らかになったことで,需要サイドの分析を開始した。具体的には,都道府県別の農薬出荷額,作付面積,農産物価格,賃金などのパネルデータを用いて,農薬使用(需要)に与えた要因の分析を行ってきている。特に,以下の点がオリジナルな部分である。第1に,この研究の目的の一つである1960年代からの長期のデータを用いて実施していることである。これによって,様々な法律や制度の変更の分析をすることができる。第2に,農産物の貿易自由化との関連を見るために農産物価格の影響を分析していることである。この点については,費用関数を用いて他の生産要素との代替性を検証することによって補完する。第3に,農薬の原体・製剤の輸出入の影響を考察している。これらに関する論文は現在投稿準備中であ。
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