研究課題/領域番号 |
17730272
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中野 誠 一橋大学, 大学院・商学研究科, 准教授 (00275017)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 会計情報 / 企業価値評価 / 利益率格差 / 研究開発 / 無形資産 / 産業内格差 / 残余利益モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、会計情報を用いた価値評価をダイナミックな視点から実証的に分析する点にある。 昨今、個人所得格差の問題は世界的な関心事となっており、経済学や社会学の分野では活発な議論が展開されている。翻って、企業研究の分野においては、利益率格差の研究は驚くほど少ない。そこで、今年度、本研究では、利益率格差に関して、各国内の構造を解明するべく、多面的な分析を実施した。GDPの約7割を占めてきた先進経済10ヵ国の上場企業を分析対象とした。各国内の利益率格差の計測の結果、明らかになったのは、次の三点である。第1に、グローバルレベルで見て、利益率格差は拡大している。特に1990年代後半から、その傾向が顕著になってきている。第2に、国ごとに格差の水準と時系列動向が異なる。第3に、アングロサクソン諸国(本研究の分析対象国の中では、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ)では格差が大きく、しかも拡大傾向が強い。非アングロサクソン諸国(日本、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、韓国)の格差は相対的に小さい。特に日本の企業間格差は極端なまでに小さく、先進10カ国の中でも群を抜いて小さい。これらの点は基礎的な観察ではあるけれど、既存研究にはない、本研究独自の発見だと思われる。「個別企業の競争力指標」としての利益率だけではなく、「社会的指標」として、あるいは「経済社会の構造を描く指標」として利益率を論じる必要があろう。本研究によって、産業のダイナミズムを、会計情報を用いて分析する新たな地平線を切り開ける可能性が見えてきた。
|