研究概要 |
◎ABC/ABMの導入に関する研究 今年度の研究課題は,(1)「ABC/ABM等の管理会計システムを新たに組織に導入することで,組織ユニット・レベルでどのような抵抗が生じるのか。また,その源泉は何か。」について文献調査及びインタビュー調査を通じて明らかにすること,および,(2)得られた知見が一般化できるかどうかを明らかにするため,質問票調査を実施することであった。当該課題に関しては,質問票調査まで踏み込むことはできなかったものの,文献調査を通じて,導入目的の理解容易度と導入目的についてのコンセンサスの如何が,従業員の抵抗の源泉となっている可能性を明らかにすることができた。また同時に,両要因とも先行研究間で結果が異なっており,抵抗に関係しているのか否かに関して結論の一致を見てはいなかったことも分かった。そこで,報告者は,自身が実施したインタビュー・データを分析することも通じて,両要因が従業員の抵抗の源泉となっているのかについて,他の先行研究とは異なる「プロセスを記述する」という視点からケース研究を通じて探ることにした。 報告者が調査した組織では,先行研究と同様,従業員の間で導入目的に関するコンセンサスが得られていなかったことが抵抗の源泉の一つであった。また,導入推進者が導入目的を従業員に対して伝達することで抵抗が低減され,導入目的が従業員の間で共有化されていたことが確認された。本研究の理論的インプリケーションの1つは,本研究を通じて先行研究間の結果の相違の原因をプロセスの観点から説明することが可能となった点であった。以上の結果を,福田(2007)を通じて公刊した。 ◎業績評価システムのチェンジに関する研究 今回のテーマと関連して,業績評価システムのチェンジに関するケース研究と質問票調査も実施し,それらの成果を近藤他(2006)および福田他(2006)の両稿にまとめた。
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