平成17年度は、「カウンセラーのバーンアウト兆候チェックリスト」質問紙の開発を行い、信頼性と妥当性を確認した。信頼性は再テスト法を行い、x2乗検定の結果、一致率の低い項目を削除した。妥当性については、「カウンセラーのバーンアウト兆候チェックリスト」総得点とGHQ30の総得点との関連を調べ、ピアソンの相関係数を算出したところ、r=-.571(p<.01)であり、精神的症状をあらわすGHQ総得点とは有意傾向のある負の相関が得られた。平成18年度は、平成17年度の研究を元に作成された「カウンセラーのバーンアウト兆候チェックリスト」を全国の大学に勤務する学生相談担当者に調査協力を仰ぎ、郵送法にて実施した。回収数は165部で回収率は67.3%であった。チェックリストの構造を確かめるために、項目の因子分析(主成分分析、バリマックス回転)を行った結果、6因子解を得た。それぞれの因子について、第1因子「疲労感」第2因子「感覚鈍麻」第3因子「援助能力への疑い」第4因子「孤立感」第5因子「充実感・満足感の喪失」第6因子「逃避感」と命名した。これらの調査結果は、現在論文にまとめている段階であり、平成18年度中には学会誌への投稿を予定している。また、平成17年度に行った調査と合わせて、カウンセラーのバーンアウト予防に関する情報を提供するために、「カウンセラーの健康支援-セラピスト・カウンセラーのバーンアウト(燃え尽き症候群)の予防のページ」というタイトルのWebサイトを開設した。本HPでは、カウンセラー・セラピストのバーンアウト予防に関するコンテンツとして「バーンアウトとは」「バーンアウトに関する主な研究」「バーンアウト予防戦略」「バーンアウトセルフチェック」「調査研究の成果より」「研究者プロフィール」などを柱とした、啓発情報、予防情報を提供した。
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