研究課題/領域番号 |
17730423
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験心理学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬山 淳一郎 東京大学, 大学院情報学環, 助手 (90302653)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 顔 / 順応 / 残効 / 不気味の谷 / リアリズム / 顔知覚 / 顔空間 |
研究概要 |
本研究課題では、従来の顔研究で全く注目されてこなかった、リアリズムの次元を検討対象とした。ここでいうリアリズムとは、顔が作り物であるか(人造顔)、それとも現実の人間の顔であるか(自然顔)を表す次元を意味する。実は心理学以外の分野ではリアリズムの心理的影響が既に議論されており、中でもロボット工学における「不気味の谷」仮説が近年注目を集めている。この仮説は、ロボットに対する人間の印象が、ロボットの外観のリアリズムによって影響を受けるであろうと述べている。本研究ではまず、この仮説を検証するため、リアリズムのレベルが様々に異なる顔画像を被験者に呈示し、リカート法を用いて印象評定をさせた。実験の結果は、不気味の谷仮説を支持するものであり、人間の顔知覚メカニズムがリアリズムによって系統的な影響を受けることが確認された。次にこの不気味の谷現象を順応パラダイムの中で検討した。今回は、目の大きさを拡大した顔を観察し続けると(順応段階)、その直後のテスト段階で観察した顔の目の大きさが、通常よりも小さく感じられるという現象(目の大きさの残効)を利用した。順応段階とテスト段階の両方で自然顔を観察した場合には残効が顕著に生じたが、順応段階で人造顔、テスト段階で自然顔を観察すると、残効は生じなかった。この結果は、自然顔と人造顔が、顔空間の異なる領域で分離して表現されると仮定することで理解できる。しかしながら、順応段階で自然顔を観察すると、その効果がテスト段階の人造顔に影響することが確認されたため、リアリズムに関連した顔空間の構造は、上記の単純な仮説では十分に理解できないこともわかった。このような複雑な顔空間の構造を検討するためには、リアリズムの次元に注目したさらなる検討が必要である。
|