研究課題
若手研究(B)
本年度の研究成果は以下のとおりである。1)これまですすめてきた先住民族の教育自治基盤に関する研究成果を日本比較教育学会研究大会にて発表した。研究発表を行うにあたって、さらに資料を補充するべく、6月初旬、カナダ国オタワ市の国立公文書館にて行政文書の調査・収集を行った。この結果、先住民族問題担当の官庁内部の会議録を入手し、先住民族政策に対する先住民族側の不安や不満、教育に関する動向などに関する重要な知見を得た。これらの資料調査をふまえ、「戦後カナダの先住民族に対する経済開発政策と教育-1945-1969」と題する論文を執筆し、2008年11月、明石書店より刊行の予定である。2)教育自治がどのように実践されているのかについて具体的像を得るため、2007年8月中旬に、ブリティッシュ・コロンビア州キトマットのハイスラー・ネーションおよびナス川沿岸のニスガ・ネーションを訪問・調査した。ハイスラー・ネーションでは首長に、民族自治的な経済開発の実情と、そこにおける教育・訓練の現状についてインタビュー調査を行った。ニスガ・ネーションでは、民族自治政府庁舎および幼児教育センター、ニズガ・カレッジを訪問し、ニスガ語と英語のバイリンガル教育やニスガ語によるイマージョン・プログラム、民族自治のもとでのニズガ生徒の進学状況についてインタビュー調査を行った。3) 2007年6月のカナダ国立公文書館及び2008年3月のブリティッシュ・コロンビア大学附属図書館における資料調査により、1973年以後のBC州の先住民族保留地での教育自治にむけた動向を知る公文書を収集し、先住民族自治体レベルでの教育自治体制構築の過程を明らかにする手がかりを得た。
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カナダ教育研究 第5号
ページ: 31-45
カナダ教育研究 第4号(印刷中)