配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
今年度は以下の2つの研究を行った. (1)有限F-表現型の環の研究(高橋亮との共同研究) 昨年度に引き続き,有限F-表現型の環の性質を調べた.特にF-正則な有限F-表現型次数付環上F-跳躍数(の集合)は離散的になることを示した.このような離散性は,F-跳躍数と跳躍数の類似から,ほとんどの環上で成り立つと期待されているが,今までは正則環上でしか知られていなかった.F-正則な有限F-表現型次数付環は多項式環の自然な拡張になっており, Stanley-Reisner環,正規半群環,不変式環などの幅広い環のクラスを含む.今回の結果によって,このような環上でのF-跳躍数の離散性が得られたことになる.これらの結果を論文"D-modules over rings with finite F-representation type"にまとめた. (2)F-thresholdの研究(Craig Huneke, Mircea Mustata,渡辺敬一との共同研究) イデアルJに関するイデアルlのF-threshold c^J(l)とは,lの通常幕とJのフロペニウス幕を比較することによって得られる,正標数の特異点の不変量である.正則環上ではF-跳躍数と一致することが知られており, Mustata-高木-渡辺はこの場合にF-thresholdの基本的性質を調べた.一方,非正則環上ではF-thresholdとF-跳躍数は一般に一致しない,今回は正則とは限らない環上でF-thresholdの性質を調べ,巴系イデアルの整閉包(resp.密着閉包)をF-thresholdを用いて特徴づけた.整閉包,密着閉包は可換環論において大変重要なイデアルの閉包操作であり,F-thresholdを用いてこれらの振舞いを制御できるというのは非常に興味深い.さらにlが0次元のイデアルでJが巴系イデアルのとき,c^J(l)を用いたl,Jの重複度に関する比較公式を予想し,l, JがCohen-Macaulay次数付環の斉次巴系イデアルの場合にこの予想を証明した.これはde Fernex-Ein-Mustataの結果の精密化を与えている.一連の結果を論文"F-thresholds, tight closure, integral closure, and multiplicity bounds"にまとめた.
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