研究概要 |
Xは複素数体上射影的な非特異曲面、H,H^1はその上の相異なる偏極、(r,C_1,C_2)はZ×NS(X)×Zの元とする。X上の、Chern類が(r,C_1,c_2)であるH準安定な連接層の粗モジュライ空間をM(H)で表す。M(H)とM(Ht)は多くの場合双有理同値であることが知られている。したがって両者を結ぶ双有理変換の列を作れ、という問題が浮上する。報告者は前年度両者を結ぶ爆発の列を、階数rが一般の場合に、初等変換とsheafwithflagという二つの手法を用いて構成した。 簡単のため階数は2とする。上の爆発p:M^^〜→M(H)(resp.p':M^^〜→M(H'))の中心をP(resp.P')、例外因子をEで表す。層FがEの点に対応するとき、FにはH'-Harder-Narashimhan filtrationが伴い、E→P→T=Hilb(X)×Hilb(X)×Pic(X).という射が得られ、ここから射τ×τ'E→P×P'を得る。t∈Tのファイバーに対し、P×k(t)=P^n、P'×k(t)=P^mの形で表せ、τは埋め込みE×k(t)→P^n×P^mを与えるが、この部分スキームがXの性質を反映することが期待される。H^1-Harder-Narashimhan filtrationが自然に誘導し、良い条件のもとではP⊂M(H)のconormalbundleに一致するあるD(P)の元を用いてEの構造を調べられないかと考え、現在考察中である。
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