研究概要 |
穴あきトーラスクライン群からなる集合をPとするとき,前年度までに,P上でフォード領域の組み合わせ構造を用いて定義されるsideparameterとクライン多様体の無限遠境界に現れるリーマン面の等角構造を用いて定義されるendinvariantとの間の距離に対する上からの一様な評価が得られていた.その成果を発展させることにより,以下の事実を証明することができた. ● Side parameterがPに対する完全不変量であることがわかった. ● End invariantの逆写像とside parameterの合成として得られるパラメータの空間上の自己全単射は同相写像であることがわかった. この新しく判明した事実は,フォード領域の組み合わせ構造とクライン多様体の無限遠境界の等角構造が擬フックス群の退化に関して同じ情報を持つことを示し,本研究の主題であった,組み合わせ構造と解析的構造の比較に対して大きな前進をもたらした. この成果をアメリカで開催された国際会議「Knotting Mathematics and Art: Confbrence in Low Dimensional Topology and Mathematical Art」などで発表した. また,前年度までに得られた,穴あきトーラスと閉区間の直積に対し,閉区間の内部の1点に射影する穴あきトーラス内の本質的単純閉曲線に対し,その曲線に沿った(適当な枠に関する)r-デーン手術を施すことで構成できる3次元多様体の双曲構造に対するフォード領域の組み合わせ構造に関する研究の概要を「Ford dolnain of a certain hyperbolic 3-manifbld whose boundary consists of a pair of once-punctured tori」として発表した.
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