配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
本研究では,逆問題に現れる非適切問題の高精度数値計算を目的とし,多倍長数値計算環境の設計と実装,およびスペクトル法などの高精度離散化手法で得られる離散スキームの数値計算をおこなった.まず,数値的に不安定の数値計算においては,丸め誤差の影響が深刻であることが指摘されていた.従来は,問題やアルゴリズムによって異なる手法が提案されてきたが,包括的な解決を目指し,計算機上での実数の近似精度そのものを高精度にする多倍長計算による解決をおこなった.そのために,新たなソフトウエアが必要となるため,数値計算で広く利用されている64ビット計算機を活用した計算環境を構築した.当該ソフトウエアは,当該ソフトウエアは,商用ソフトウエアに比して2倍から10倍を越える高速演算を実現している.これで得られた計算環境において,典型的な非適切問題であるLaplace逆変換の数値的実現をおこなった.これは電気工学,制御工学,地球物理などで現れる問題である.一般にはLaplace変換表を索くことで逆変換を求めるが,順変換が知られていなければ,その逆変換は求めることができなかった.従来はBromwich積分などの数値計算が提案されているが,いずれも精度が低いという問題点があった.これに対し,逆Laplace変換の問題を,再生核Hilbert空間上でのコンパクト積分作用素による第一種積分方程式の問題に帰着させることに成功した.これにより,新たなLaplace逆変換公式を導出した.さらに,その特異系を数値的に求めるとともに,多倍長計算環境下で極めて小さな正則化パラメータを採っての高精度数値計算を美現し,インパルス応答や特性函数など,特異性を含むが応用上重要な函数についても,高精度な逆変換の数値計算を実現した.
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