研究課題/領域番号 |
17740105
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野上 大作 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20332728)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | ブラックホール / 矮新星 / X線連星 / 降着円盤 / 増光現象 / 自動モニタ観測 / 小型望遠鏡 / 自動モニター観測 |
研究概要 |
ブラックホールに降着円盤から突然大質量の降着が起こって増光し、光速に近いジェットが吹き出すX線新星や、同じく降着円盤起源の爆発現象を起こす矮新星は、ジェット現象や降着円盤の性質を調べる格好の材料である。しかし、これらはいつどの天体で爆発現象が発生するか予期できないために、その最初期の部分の観測は難しい。だがここにこそ、その機構の解明の為の鍵が隠されている。そこであらかじめプログラムした数百の天体を晴れた日は毎晩自動でモニタし、特異な現象を発見後すぐに通報するシステムを開発することを計画した。これにより降着円盤系の増光現象の最初期の挙動を明らかにし、増光やジェット現象の機構の解明を行う。本研究課題では前年度まで30cm望遠鏡によりほぼ自動モニタシステムが稼動することは確認し、モニタする天体に関しても、低質量X線連星10個程度、矮新星200個程度でリストアップは大方終了していた。最終年度の今期は、まず最終的な動作のチェックを行い、一晩で100〜150個ほどの天体のデータが得られるシステムの構築は完成した。その後、自動モニタシステムを飛騨天文台新館屋上に設置し、梅雨明けに本観測に移行した。このシステムにおいて実際に150個ほどの天体の日々の光度曲線を取得し、データベースを作成した。この中で20個ほどの矮新星の爆発現象を捉え、そのうち4回の爆発はこのシステムにおいて世界で他に先駆けて増光を捕らえたものである。その中で1個の矮新星についてはすぐにフォローアップ観測を呼びかけ、世界的な分光観測キャンペーンを組織した。その結果、爆発初期の降着円盤において約1000km/秒の円盤風が吹き出す証拠を見つけ、降着円盤の厚みが爆発の極大に向けて厚くなり、その後徐々に元に戻っていくことで解釈される、可視光分光観測としては初の観測結果を得た。これは爆発初期を捉えるこのシステムでこそ得られた成果である。しかし申請した金額からの減額によってこのシステムを保護するドームを導入することはできず、天候の変化が激しく特に冬季に非常に厳しい気象状況となる飛騨で定常的に安定して運用することはできず、当初の予定よりもデータを収集できなかったのは残念であった。
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