研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、活動銀河核(AGN)の莫大な放射パワーの源である質量降着過程を明らかにするために、AGNの中心0.1pcの領域において降着物質の物理状態を調べることである。AGNの近傍の水蒸気メーザーとプラズマ自由-自由吸収という二つの異なる相にある降着物質の遷移を明らかにする。2005年に米国国立電波天文台(NRAO)のGreen Bank Telescopeで得られたメーザーの増光(バースト)現象(報告済み)に対応する高分解能電波写真をNRAOの電波干渉計VLBAを用いて撮影し、バースト成分の同定を行った。この結果、(1)これまで西側のジェットにしか見つかっていなかったメーザーが、東側の近づくジェットにも見つかった、(2)メーザーの分布はプラズマ自由-自由吸収が深い領域と一致した、(2)3回のバーストのうち、最初の成分は東側ジェットに、後2回は西側ジェットに付随していた、(3)メーザー源の視線速度がジェットを横切る方向に勾配を持つ、ことが分った。この結果は、濃いプラズマと分子ガスの混合が、ジェットに垂直なトーラスを形成していて回転しながら降着している、と考えると説明でき、活動銀河への質量降着過程に示唆を与えるものである。これらの成果は、日本天文学会2006年秋季年会S14bで報告したほか、IAU Symposium 242 "Astrophysical masers and their environments"で報告した。未発表の結果についても論文を準備中である。
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