研究概要 |
XMMニュートン衛星を用いたセレンディピタスサーベイの結果をまとめ、X線源の数かぞえ(log N logS関係)をこれまでにない範囲にわたって過去最高の精度で決定した(Carrera, et. al. 2007)。この結果は、活動銀河核(AGN)の進化を精密に制限する上で重要な基礎データとなる。また、XMMニュートンディープサーベイ(SXDS)計画を進め、電波と中間赤外線を用いて2型クエーサーを探査し、そのかなりの割合が非常に大きな吸収を受けていてX線さえ検出されていない「コンプトン厚AGN」であること、その数密度が1型AGNのそれに匹敵する可能性があることを見出した(Martinez-Sansigre, et. al. 2007)。これは遠方宇宙において、ブラックホール成長がガスや塵に隠された状態で起きていることを意味し、共進化を考える上で重要な発見である。さらにSXDS計画において可視天文学者と協力し、広がったライマンα天体における活動銀河の割合を調査した(Saito, et. al. 2008)。これら深宇宙サーベイと平行し、近傍宇宙における隠されたAGNの探査を進めた。Swift衛星による硬X線サーベイで見つかった天体を「すざく」による追求観測し、分厚い卜ーラスに深く埋もれた新しいタイプのAGNを発見した(Ueda, et. al. 2007)。これらの新天体も含めたSwiftサーベイの完全サンプルに対し、南アフリカ天文台で系統的な可視分光観測を進めた。また、これまでに得られたX線サンプルを用い、過去最高の精度でAGNのX線光度関数を決定し、その結果について、ギリシア・アメリカで行なわれた国際会議で招待講演を行なった。
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