本年度は研究期間の最終年度であった。ブレーンワールド模型に基づいた宇宙加速膨張モデルの構築を中心に研究が行ったが、あまり劇的な成果は得られなかった。本年度掲載された論文では、5次元アインシュタイン重力理論に4階テンソル場の逆数を含む理論から宇宙加速膨張モデルを提唱した。この宇宙モデルの時間発展を決めるスケールファクターを導出し、4次元有効理論におけるスケールファクターの振る舞いを考察し、その結果、宇宙は減速膨張から加速膨張に移行することが分かった。このモデルから、4次元物理とりわけ現在の宇宙の起源は高次元にあることを示唆できると私は考えます。提唱された模型は、超弦理論の非摂動効果により誘起されると期待しているが、今後、その点を議論する必要があると考えている。さらに、本年度から、共形場理論から宇宙モデル構築の可能性があるのではないかという新たな挑戦をした。しかし、共形場理論の基礎研究とその周辺の研究動向調査で時間がかかり過ぎて、思うように研究成果が得られなかった。以後も、さらに宇宙論と素粒子論との深いつながりを研究し、人類の夢である宇宙本来の姿を理論的に解明していく。
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