ハドロン分野における中心課題の一つとして、90年代初頭から4、5、6個のクオークで構成されるマルチクオークシステムの理論的研究、及び探索実験が精力的に行なわれて来た。昨年、5個のクオークからなる新素粒子ペンタクオークΘ^+の発見が大阪大学の実験グループによって発表され、大きなインパクトを与えている。理論側に緊急に要求されていることは「散乱・共鳴境界条件の下に厳密5体問題として取り組み、ペンタクオークΘ^+のスピン・パリティを決め、狭い共鳴の幅を説明し内部構造を解き明かすこと」である。 そこで、本研究の目的は、申請者自身が提唱し開発した「無限小変位ガウスローブ基底関数に基づく少数多体系の厳密計算法」を活用し、ハイペロンや、エキゾチックハドロンシステムを構成子クオーク模型に基づいて、その構造を研究することである。 平成19年度は、ハイペロンの構造を構成子クオーク模型に基づいて研究するると共に、このハイペロンが原子核内に注入された場合の構造について研究を行った。原子核内にグザイハイペロンが付加された原子核の存在はまだ皆無であったが、理論的に束縛状態の可能性について指摘した。
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