研究概要 |
本研究はInternational Linear Collider (ILC)を想定したトップ・クォーク生成とその崩壊過程に着目し、標準模型を低エネルギー有効理論として含む新しい素粒子模型構築の手掛かりを得ようとするものである。ここで、扱うトップ・クォークは、発見後10年以上経過した今も尚、他のクォーク程の精密測定が行われていない。これは、トップ・クォークが今でも発見に至ったFermi研究所のTevatron加速器でしか生成できないことに起因していると思われる。しかし、近い将来、ILC実験によりトップ・クォークの大量生成が可能となり、トップ・クォークの相互作用などがより精密に測定されるであろう。 そこで、平成17年度に引き続きILC実験のオプション実験として計画されている光子-光子散乱からのトップ・クォーク生成と崩壊過程に寄与する可能性のある非標準的なtty結合とtbW結合,γγH結合の検出可能性を特定の模型に依存しない解析方法を用いて解析した。また、それぞれの非標準結合を最も効果的に測定できる散乱光子の偏極状態の組み合わせを測定誤差の見積もりから求めた。 さらに、平成16年度までに行っていた電子-陽電子散乱に対する同様な解析結果と、平成17年度と18年度前半で得られた結果を比較し、ILC実験において電子-陽電子散乱と光子-光子散乱のどちらが効果的に非標準tty結合とtbW結合を観測できるかを比較した。 上記研究結果は、国内外の研究会で発表すると共に、論文としても発表した。
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