研究課題
若手研究(B)
非線形重力ポテンシャルの進化による温度ゆらぎ生成機構の解明「薄い殻」近似、摂動論、Lemaitre-Tolman-Bondi時空モデルの3つの計算方法を駆使して明らかになったのは以下の四点である。(1)宇宙項入りの平坦Friedmann-Robertoson-Walker(FRW)モデルでは、Einsten-de Sitter宇宙の場合と異なり、温度ゆらぎに対して、密度コントラストの一次の項も寄与する。又、密度コントラストの一次の項と二次の項はボイドの場合相関する。(2)二次の項はポテンシャルの符号によらず、常に温度を下げる働きがある。従って、低赤方偏移では、ボイド領域を通過した宇宙背景輻射光子は、より低温になり、質量集中の領域を通過した光子は高温になる。しかし、二次の効果がより効くとやや温度が下がる。又、高赤方偏移の質量集中を通過した光子に対しては一次の効果より二次の効果が利くため、温度揺らぎは負になる。(3)標準モデル(宇宙項入りの平坦FRWモデル)の予測する大角度スケールにおける非線形重力ポテンシャル進化による温度揺らぎの平均値のオーダーは大き目に見積もって1億分の1程度であり、その効果は線形積分Sachs-Wolfe効果に比べて無視できる。(4)しかしながら、高赤方偏移の天体のみの寄与を考えると、その線形積分Sachs-Wolfe効果は質量優勢期において消滅するため、一次の効果対する二次の効果は高赤方偏移では無視できなくなる。
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The astrophysical Journal, 664
ページ: 650-659
The astrophysical journal 648
ページ: 23-30