プラズマ加熱と粒子加速が銀河・銀河団形成に与える影響

• 研究課題/領域番号: 17740162
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 藤田 裕 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10332165)
• 研究期間 (年度): 2005 – 2007
• 研究課題ステータス: 完了 (2007年度)
• 配分額: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円); 2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円); 2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円); 2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
• キーワード: プラズマ / 銀河 / 銀河団 / 粒子加速

研究概要

本年度は銀河団中に存在する天体が、銀河団に充満するプラズマ(銀河団ガス)に与える影響を中心に調べた。
多くの銀河団の中心には、太陽の10億倍もの質量をもつ巨大ブラックホールが存在するが、まずこのブラックホールの活動で発生した衝撃波が、銀河団ガス中を伝播するときに何が起こるか理論的に考察をした。その結果、衝撃波面で一部のプラズマ粒子が加速され、さらに加速された粒子からは、シンクロトロン電波放射やガンマ線が観測されるはずであることを示した。この予言は2008年度に打ち上げられるGLAST衛星によって検証されるであろう。また衝撃波が銀河団中の銀河を通過するときに、銀河のガスを剥ぎ取ることでその銀河の星形成活動を停止させることも示した。また巨大ブラックホールの活動で、銀河団ガス中に発生したMHD波が、銀河団ガスを加熱することをMHD数値シミュレーションで示した。
さらに観測の立場からは、米国のChandra衛星を使い、銀河団中の巨大ブラックホールが銀河団ガスに残した過去の活動の痕跡(バブル)を観測した。その結果、バブルの位置はブラックホールの活動が終了してからかなり移動していることを明らかにした。
以上の研究は、銀河団中の巨大ブラックホールの活動が銀河団ガスに多種多様な影響を与えていることを示したことで重要である。

研究成果

• [雑誌論文] A Chandra observation of Abell 13: Investigating the Origin of the Radio Relic (2008)
  • 著者名/発表者名: A. M. Juett
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 672 ページ: 138-145
  • 査読あり
• [雑誌論文] Influence of AGN Outbursts on the Surrounding Galaxies (2008)
  • 著者名/発表者名: Y. Fujita
  • 雑誌名: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 384
  • 査読あり
• [雑誌論文] The Origin of Ripples in Cool Cores of Galaxy Clusters: heating by Magnetohydrodynamic Waves? (2007)
  • 著者名/発表者名: Y. Fujita
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 659
  • 査読あり
• [雑誌論文] Nonthermal Emission Associated with Strong AGN Outbursts at the Centers of Galaxy Clusters (2007)
  • 著者名/発表者名: Y. Fujita
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 663
  • 査読あり
• [雑誌論文] Chandra Observations of A 2670 and A 2107 : A Comet Galaxy and cDs with Large Peculiar Velocities (2006)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita, C.L.Sarazin, Sivakoff, G.R.
  • 雑誌名: Publications of the Astronomical Society of Japan 58 ページ: 131-141
  • NAID: 10023939808
• [雑誌論文] The generation of magnetic fields by the Weibel instability (2006)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita, T.N.Kato
  • 雑誌名: Astronomische Nachrichten 327 ページ: 443-447
• [雑誌論文] The Japanese X-ray missions (2006)
  • 著者名/発表者名: Y.Furjita
  • 雑誌名: Astronomische Nachrichten 327 ページ: 632-633
• [雑誌論文] Does a Galaxy Fly? (2006)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita
  • 雑誌名: Publications of the Astronomical Society of Japan 58 ページ: 809-811
  • NAID: 10023942684
• [雑誌論文] Magnetic fiela generation by the Weibel instability at temperature gradients in collisionless plasmas (2006)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita, T.N.Kato
  • 雑誌名: Physics of Plasmas 13
• [雑誌論文] On the Heating of Cluster Cooling Flows by Sound Waves (2005)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita, T.K.Suzuki
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 630
• [雑誌論文] A Simple Measurement of Turbulence in Cores of Galaxy Clusters (2005)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita
  • 雑誌名: The Astrophysical Journal 631
• [雑誌論文] A Possible Origin of Magnetic Fields in Galaxies and Clusters : Strong Magnetic fields at z~10? (2005)
  • 著者名/発表者名: Y.Fujita, T.N.Kato
  • 雑誌名: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 364 ページ: 247-252
• [学会発表] AGNの大爆発が周囲の銀河に与える影響 (2008)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: 日本天文学会2008年春季年会
  • 発表場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)
  • 年月日: 2008-03-27
• [学会発表] AGNの大爆発に伴う銀河団での粒子加速 (2008)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: 日本天文学会2008年春季年会
  • 発表場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)
  • 年月日: 2008-03-24
• [学会発表] Magnetic field generation by the Weibel instability at temperature gradients in collisionless plasmas (2008)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: International Workshop on Plasma Shocks and particle Acceleration
  • 発表場所: 千里阪急ホテル(大阪)
  • 年月日: 2008-01-24
• [学会発表] AGN の大暴発が周辺の銀河に与える影響 (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: 宇宙物理学の未解決問題
  • 発表場所: 京都大学
  • 年月日: 2007-12-25
• [学会発表] 銀河団の高エネルギー現象 (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: 高エネルギー宇宙物理研究会
  • 発表場所: 大阪大学
  • 年月日: 2007-12-21
• [学会発表] Suzaku Observations of the Outskirts of A399/A401 (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: The Suzaku X-ray Universe
  • 発表場所: San Diego, USA
  • 年月日: 2007-12-11
• [学会発表] より外へ、より高エネルギーへ (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: マクロでミクロな銀河団
  • 発表場所: たかみや瑠璃倶楽リゾート(山形)
  • 年月日: 2007-10-25
• [学会発表] すざくによる連銀河団A399/A401の連結領域の観測 (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: 日本天文学会2007年秋季年会
  • 発表場所: 岐阜大学
  • 年月日: 2007-09-26
• [学会発表] MHD wave による銀河団の加熱 (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: 日本天文学会2007年秋季年会
  • 発表場所: 岐阜大学
  • 年月日: 2007-09-26
• [学会発表] Suzaku Observation of A399/A401 (2007)
  • 著者名/発表者名: 藤田 裕
  • 学会等名: Tracing Cosmic Evolution with Clusters of Galaxies: Six Years Later
  • 発表場所: Sesto(BZ) Alto Adige, Italy
  • 年月日: 2007-06-28
• [図書] 銀河1(1)(シリーズ現代の天文学第4巻) (2007)
  • 著者名/発表者名: 谷口 義明
  • 出版者: 日本評論社
• [備考]
  • URL: http://vega.ess.sci.osaka-u.ac.jp/~fujita/article/suzaku/a399a401.htm