研究概要 |
本研究の目的は、高位置分解能荷電粒子飛跡検出器へ応用するためのstripixel型半導体検出器を開発することである。平成17年度は、実用化を目指した検出器の第一段階として、RHIC衝突型加速器PHNEIX実験用のstripixel型半導体検出器のプロトタイプを製作し、その性能評価を行った。プロトタイプ検出器は、シリコンセンサー、信号読み出しIC、回路基板で構成し、製作した。使用したセンサーは、5μmライン/3μmスペースの渦巻き電極構造、ピクセルサイズ1000μm×80μm、ピクセル数15,360、ストリップ数1,536、センサーサイズ63.6mm×34.9mm、センサー厚625μmのものである。信号読み出しICには、米国フェルミ国立研究所テバトロン加速器実験用に開発されたSVX4チップを用いた。回路基板は、SVX4チップの制御ならびにセンサーへの電圧を印加できるよう設計・製作を行った。プロトタイプ検出器の信号を読み出すため、LabVIEWに基づくデータ収集システムの構築を行った。検出器の性能評価として、センサーの電気特性の測定、ノイズの測定、波長1,060nmの赤外レーザーを用いた信号電荷分割特性の測定を行った。センサーの電気特性の測定では、空乏層化電圧約100V、1ストリップあたりの漏れ電流約0.12-0.20nAを得、十分な性能であることを確認した。ノイズの測定では、約850e^- rmsを測定し、非常に良いS/N比約26が期待されることを示した。また、赤外レーザー入射によるテストでは、渦巻き電極間の信号電荷分割特性を測定することを目指したが、レーザーのスポットサイズに問題があり、最終的な結論を得るには至らず、今後の課題である。なお、平成17年度に行った研究のpreliminaryな成果は、国際会議VERTEX2005で報告を行い、論文を発表予定である。
|