研究課題/領域番号 |
17740194
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小倉 昌子 大阪大学, 理学研究科, 助教 (30397640)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 電子状態計算 / 超微細相互作用 / 希薄磁性半導体 |
研究概要 |
(In,Mn)AsなどのIII-V族希薄磁性半導体とAISb等のヘテロ接合を考え、界面付近に不純物(例えばアンチサイトAs)を導入し、その超微細場に着目する。接合部分にバイアス電圧を加えると界面付近でAISb側から(In,Mn)As側への電子注入がわずかに生じ、アンチサイトAsのs状態の占有数が変化し超微細場に大きな変化が生じる。このように超微細場を制御することによって核スピンを操作することが可能であると考えられる。 本研究では密度汎関数法に基づくKKR-CPA法を用いて超微細場の変化を検証した。その結果数ボルトのバイアス電圧によってアンチサイトAsの超微細場が大きく変化することがわかった。このような超微細場の変化は磁性半導体やベースとなる半導体の種類を変えても同様におこる。ただし超微細場が変化するバイアス電圧の値はベースによって大きく異なる。これはベースによってアンチサイトAsのエネルギー準位が変化するためである。超微細場のふるまいはMn濃度にも依存し、Mn濃度が高いほど超微細場が変化するバイアス電圧の値が大きくなり、超微細場の変化は大きくなることがわかった。前者は(In,Mn)Asのキャリアホールが増加すること、後者はアンチサイトAsの状態の交換分裂が大きくなることから説明できる。また、超微細磁場の変化のふるまいはベース半導体のドーピングによっても変化する。例えば、ドナーを供給するとフェルミレベルがシフトして超微細場が変化するバイアス電圧の値が低くなる。これらのことから現実的なバイアス電圧で超微細場を制御できる系を設計することが可能であると言える。 II-VI族化合物半導体についても同様の計算を試みたが、大きな超微細場の変化は見られなかった。これはバンドギャップ中に磁性イオンによるバンドが生じて、不純物状態がこの磁性イオンによるバンドと強く混成し広がってしまうためである。
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