研究課題/領域番号 |
17740202
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
山口 尚秀 物質・材料研究機構, ナノシステム機能センター, 主任研究員 (70399385)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2007年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 非線形伝導 / 有機導体 / 電荷秩序 / 巨大磁気抵抗 / スピン依存伝導 / 電子間クーロン相互作用 / 誘電率 / 分子性導体 / 電荷密度液 / スピン密度波 / 荷電秩序 / スライディング / NbSe_3 / 有機伝導体 |
研究概要 |
われわれは前年度までに、層状有機結晶θ-(BEDT-TTF)_2MZn(SCN)_4(M=Cs,Rb)の高電場に対する応答を10μm程度の微小間隔の電極によって測定し、低温で非常に大きな非線形伝導特性を見出した。この非線形伝導ははっきりとしQ閾電場をもたず、電荷密度波のスライディングとは異なる機構によると考えられる。われわれは、2次元的な長距離クーロン相互作用によって束縛した電子ホール対が、電場をかけることで解離し、電流が急激に増大するという機構で説明できることを示した。(Yamaguchi, et. al.Phys.Rev.Lett.96,136602(2006))この機構によれば、この有機結晶の誘電率に大きな異方性があることが予想される。そこでわれわれは誘電率の測定を実際に行った。誘電率測定を行うために、同軸ケーブルを導入した3Heクライオスタット用プローブを製作した。このプローブを用いて、0.6Kまでの低温、100Hz-1MHzの周波数において、θ-(BEDT-TTF)_2CsZn(SCN)_4の面内および面間方向の誘電率測定を行った。その結果、低温極限においておよそ100の大きな誘電率の異方性があることを見出した。この結果は、2次元的なクーロン相互作用の遮蔽長が20nm程度であることを示しており、これは非線形伝導から導かれる値とほぼ一致している。また面内誘電率の温度および周波数依存性は、電子ホール束縛対の分極によって定性的に説明できた。すなわち非線形伝導と誘電特性を統一的に理解することができた。また、面内誘電率の磁場依存性と、この有機結晶で見られる巨大磁気抵抗(Yamaguchi et aI.Phys.Rev.Lett.198,116602(2007))との関連についても調べた。これらの成果は、日本物理学会第63回年次大会において発表した。
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