研究課題/領域番号 |
17740231
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
川崎 祐 徳島大, 工学部, 講師 (10346588)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | マンガン酸化物 / カチオンランダムネス効果 / 電子相分離 / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究は、ペロブスカイト構造のAサイトでカチオンの配列が秩序化したマンガン酸化物LaBaMn_2O_6で出現する電子相分離がどのような形で起こっているのかを明らかにすることを目的として行われた.La原子核及びMn原子核をプローブとした核磁気共鳴(NMR)法の測定を行い、次の点が明らかになった。 1.基底状態で強磁性金属相と反強磁性絶縁相が共存していることが、La-NMRスペクトル、Mn-NMRスペクトルの測定により微視的な観点から確認された。これにより,電子相分離がAサイトのランダムネスによる非本質的なものではなく、このマンガン酸化物に本質的な現象であることが示された。 2.電子相分離状態においても、強磁性金属相はバルクの強磁性金属の性質を保っていることが、スピンスピン格子緩和率の測定により明らかになった。この結果は、相分離がナノスケールではなくメゾスケールのサイズで起こっていることを示唆する。 3.Mn-NMRスペクトルの結果を過去の中性子散乱の結果と合わせて解析することにより、電子相分離状態におけるそれぞれの相の体積比は1対1であることが分かった。また、同時に、この電子相分離は、200K以下で強磁性金属相内に反強磁性絶縁相が一次転移的に生成することにより現れる事も明らかになった. 4.反強磁性絶縁相では、マンガンイオンのe_g軌道におけるd電子が局在したいわゆる電荷整列が起こっていることが分かった. 以上の成果により、この系で出現する相分離状態の多くが明らかになった。この結果は、マンガン酸化物で観測される巨大磁気抵抗の機構について提案されているパーコレーションモデルの構築に対して大きな寄与をなすと考えられる.
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