研究課題
若手研究(B)
実用化が期待されているトンネル磁気抵抗(tunnehng magnetoresistance ; TMR)素材のMn酸化物を、実際のテストデバイスサイズと同様の大きさにパターン微細加工した、薄膜試料の磁気ドメイン観察を放射光光電子顕微鏡を用いて行った。形状は、5ミクロン×5ミクロン、5ミクロン×10ミクロン、5ミクロン×20ミクロンの大きさの薄膜を用意した。縦と横の長さのアスペクト比を変えることにより、磁気ドメインの形成に関係する形状異方性の大きさを変えることが可能である。またMn薄膜は、ステップ・テラス構造を取っていてるので、ステップ方向に一軸異方性が働いている。左右円偏光の放射光を用いてMn元素のL吸収端近傍での磁気円2色性の実験を行うことにより、磁気モーメントのイメージング像を得た。磁場をステップに平行に印加し、ゼロ磁場に戻した後にはシングルドメインが生じた。一方、ステップに対して垂直方向に磁場印加後には、マルチドメインが観測された。これらの結果は、ステップによる一軸異方性と形状異方性の競合が原因でステップ基板特有の磁区が生じ、TMR効果が理論予想よりも低減している事をを示唆している。また、関連実験として、強相関電子系層状ペロブスカイト型Mn酸化物La_<2-2x>Sr_<1+2x>Mn_2O_7の単結晶を用いて、光電子顕微鏡観察を行った。放射光の偏光依存性により、ストライプ状の特異な格子ひずみが生じていることを明らかにした。
すべて 2006
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Applied Physics Letters 89
ページ: 112505-112505