研究課題
若手研究(B)
本課題の目的は、月探査用地震観測システムについて実ミッションを模擬した環境での性能特性を評価し、今後の惑星探査機に搭載する将来型地震観測システムの開発に資する制約条件や改良方針についての情報を得ることである。前年度に引き続き、月探査用に開発してきた短周期地震計センサー(固有周期1秒)、ジンバル機構、計測回路およびデータ処理通信系を一体化したシステムでの自然地動観測試験を行った。取得データの解析結果から、宇宙機搭載用として(1)低温熱衝撃、(2)振動衝撃、(3)貫入・落下衝撃をそれぞれ印加された後でも所定の機能・性能を有していること、ジンバル機構は3ヶ月以上の長期にわたってセンサーの中立位置を保持していること、月内部で発生しているような極微小な振幅レベル(〜数nm)の常時振動に対しても広帯域地震計STS-2型(地球のグローバル地震観測で標準センサーとして使用されている)に比肩できる波形を0.2Hz〜6Hzの周波数帯域で取得できることが分かった。また、ジンバル機構、計測回路およびデータ処理通信系を一体化したシステムで観測を行った場合の地震応答へのノイズ混入や相互干渉の有無についても評価することができた。観測結果をもとに、現行の短周期地震計にフィードバック機構を付加することで長周期化・広帯域化を図るための設計変更を行った。この改良に際しては火星探査用地震計の開発実績があるフランス国立地球物理学研究所の研究グループの協力を得て行われた。数値解析と室内予備実験の結果を総合すると周期10秒付近の速度出力換算で比較した場合、現行短周期センサーの約30倍の感度向上が期待できることが分かった。フィードバック機構は通常の電気出力信号(コイルと磁気回路の相対変位により発生する起電力)を微分/積分回路をとおして負帰還する方式を採用しているため、現行センサーの構造変更は行っていない。そのため、宇宙機搭載用としての環境耐性(低温、振動衝撃、貫入・落下衝撃など)については維持・継承されていることが特徴である。
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Proceedings of the 2^<nd> International Workshop on Penetrometry in the Solar System, edited by Komle (N.I., Kargl, G., Ball, A. J., Lorenz, R. D.) (Austrian Acedemy of Sciences Press) (in press)
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日本地震学会広報誌「ないふる」 Vol.53・January
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