研究課題/領域番号 |
17740315
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉川 裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40346854)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 熱塩深層循環 / 渦成深層循環 / 深層水形成 / 縁辺海 / 深層循環 / 日本海 / 傾圧不安定 / 二次元乱流 |
研究概要 |
深層水形成に伴う深層海水の伸縮は、渦位保存の制約により深層に循環(熱塩循環)を引き起こす。一方、深層水形成過程で生じた渦は、海底斜面上に循環(渦成循環)を形成しうる。前年度までに、二層模型を用いた数値実験を行い、熱塩循環および渦成循環とも斜面を右に見る深層流を形成すること、渦成循環がある場合にはそのような深層流は数倍程度強くなることを確認した。本年度においては、熱塩循環と渦成循環の特徴をより明瞭にするため、三層模型を用いた実験を新たに行った。 第二層に外洋型の深い対流に伴う海水形成を模した外力を与え、渦の発生を抑制した実験(熱塩循環のみ再現)と渦の発生を許容した実験(熱塩および渦成循環を再現)を行った。その結果、両実験とも第二・三層で浅い領域を右に見る流れを生成した。しかし、渦抑制実験においては、外力の直接加わっていない第三層では第二層に比べて渦柱の伸縮が弱く、その結果第三層の流れは第二層の流れに比べて弱いものとなった。一方渦許容実験においては、海底地形の効果を直接受ける第三層での流れが最も強い結果となった。このように、熱塩循環は海水形成を伴う層の循環を強化するが、渦成循環は最下層の循環を強化するという、両循環の定性的な特性の違いを確認できた。 さらに渦成循環の駆動機構を明らかにするため、第三層における循環方程式を調べた。その結果、定常状態においては、相対渦度の渦運動フラックスと層厚の渦運動フラックスが、同程度に渦成循環を駆動していることがわかった。また、これらのフラックスは、渦位フラックスとみなすこともでき、渦運動が生成する平均流に関する先行研究とも矛盾しない結果となった。 本実験結果は、深層水形成に伴う渦成循環が、新成水の形成層だけでなくそれより下層の海水の水平輸送を引き起こすことを意味している。本実験で与えた外力は、日本海や北極海、オホーツク海など、極域の縁辺海における深層水形成を模したものであることを考慮すると、それらの海域における深層永平循環を定量的に再現するためには、渦成循環の寄与を正しく考慮する必要があることを強く示唆する結果である。
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