研究課題
若手研究(B)
本研究では、高温高圧下におけるX線その揚観察実験を行い、含水カンラン岩組成でのカンラン石-ウォズレアイト相転移境界を決定した。この相転移は、地球内部の410km地震波速度不連続面の原因として重要である。実験の結果、相転移の二相共存領域が1.2GPa拡大することが明らかにされた。また、410km不連続面の厚さが35kmと観測されている地中海付近について、熱力学的解析からカンラン石とウォズレアイトの含水量を求めると、前者は0.21wt%、後者は0.84wt%であることが分かった。次に、(Mg, Fe)_2SiO_4カンラン石中への水の溶解度とそのメカニズムについて、9-15GPa、1400-2000℃の温度圧力範囲で実験を行った。その結果、水の溶解度は圧力と共に増加する一方、温度依存性は複雑な挙動を示すことが判明した。すなわち、含水量は1100から1400℃にかけて増加した一方、1400から2000℃にかけて減少した。また、水の最大溶解度は13.5GPaで1200から1400℃において、6000ppmに達した。また、1800から2000℃の範囲において、カンラン石中の含水量は、150から200ppmと大変少ないことが分かった。幾つかのデータは水素がカンラン石中の八面体サイトに入っているという説と調和的であるが、我々は赤外吸収スペクトルの解析から水素はSiサイトを置き換えている可能性が高いと考えている。続いて、含水D相およびスーパーB相の状態方程式を決定し、沈み込む含水スラブの密度を求めた。その結果、1wt%以上の含水量を持っスラブは、660km以深において周囲のマントルよりも低密度であることが示された。このことにより、含水量の高いスラブは下部マントルに沈み込むことが出来ず、遷移層に滞留すると推定される。
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