研究概要 |
本研究は,地球上の二酸化炭素循環を理解するために,地球深部起源岩石中に炭酸塩鉱物などの形で固定される二酸化炭素成分とそれをモニターするために二酸化炭素成分と同時に固定される元素を明らかにすることを目的に行なわれた. まず,(1)海洋底に直接露出している地球深部起源岩石,(2)糸魚川-青海地域の変成岩,(3)構造運動によって地球深部岩石が露出した北海道幌満かんらん岩体に対して特に検討した.元素モニターを行なうために,炭酸塩鉱物や通常の造岩鉱物中の微量元素成分を金沢大学設置のLA-ICPMSを用いて測定する方法の開発を行なった.そして,これらの方法を利用して,測定を行なった. 1のサンプルに関しては,光学顕微鏡観察,電子顕微鏡観察により,炭酸塩鉱物の産状,種類によって2ステージある事を明らかにし,それぞれの微量元素の特徴としては,Sr, Uに関して大きなシンクとなる可能性があるが,その他の元素についてはほとんど含まれていない事を明らかにした(投稿準備中).また,ある種の岩石の微量元素パターンに特殊な特徴があることを指摘し,その特徴はこの岩石が流体の影響を受けているためであることを指摘した(文献1,Nakamura et al.,2007) 2のサンプルに関しては,炭素を多く含む試料を含めて,構成鉱物の微量元素の特徴を明らかにし,これまで知られていない特殊な化学的特徴を持つ流体が関与していること,その発生メカニズムについて議論した(文献3,Morishita et al.,2007,Island Arc).3のサンプルに関しては,二酸化炭素ではないが,ほとんど微量元素を含まない流体が付加したことを明らかにした(文献2,Morishita et al.,2007,Lithos).
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