研究課題/領域番号 |
17750003
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 東京大学 (2006) 東北大学 (2005) |
研究代表者 |
加藤 毅 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (10321986)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 電子状態理論 / 強光子場科学 / 強光子場 / イオン化 |
研究概要 |
[1]時間依存多配置波動関数計算プログラム 2電子系について、グリッド基底関数を用いた時間依存多配置波動関数計算プログラムを作成した。研究計画当初は数値基底関数を擬スペクトル法で生成することを念頭においていたが、原子核から離れた位置での基底関数の数値精度が悪く、イオン化ダイナミクスを議論するためには必ずしも適当ではないことが分かった。作成した計算コードでは、双変換法に基づくグリッド基底関数を用いた。その結果、原子核から離れた位置(≧20オングストローム)での波動関数の精度を著しく向上することができた。二電子積分の評価アルゴリズムを改良すること(クーロン核を予め重みつき分解して、計算量を低減する手法)でグリッド基底関数の使用を可能なものとした。 [2]水素分子のアト秒電子ダイナミクス 高強度近赤外サブフェムト秒レーザーを使った水素分子の電子ダイナミクスの計算を行い、1電子イオン化、2電子イオン化率を求めた。 [3]時間依存多配置波動関数の自然軌道解析 上記手法で計算された波動関数の解析から古典的な電子運動の情報を引き出す試みとして、時間依存多電子波動関数の自然軌道解析を行い、全電子エネルギーを各自然軌道を占める電子に一意に分配する理論的手法を新たに定式化した。水素分子のイオン化の例では、光との相互作用によって自然軌道ポテンシャルは断熱的な安定化を示すが、初期$2σg自然軌道から出発した軌道ポテンシャルはかえって不安定化していることを見出した。この不安定化は水素分子のトンネルイオン化と関係付けられる。実際、一体演算子が自然軌道表現では対角的になることを使って、レーザー場が電子になす仕事を計算すると、初期2σg自然軌道にある電子が最も多くのエネルギーをレーザー場から供給されていることが分かった。このようにして、量子動力学計算で算出された多電子波動関数から古典的な電子運動の描像を引き出せる可能性を示した。
|