研究課題/領域番号 |
17750033
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 由佳 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (80334316)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Nキラル化合物 / 立体反転 / 光学活性体 / 閉環メタセシス反応 / X線結晶構造解析 / 温度可変NMR / 光学活性Nキラル化合物 / 光学分割 / ヒドロシリル化反応 / 酸性分割剤 |
研究概要 |
光学活性Nキラル化合物は、生理活性が極めて高く制ガン剤などの医薬品として有用な骨格である。これまでに用いられてきた光学活性Nキラル化合物は、主に、天然物からの抽出および誘導により得られたものであり、窒素原子上のみに不斉中心を有する化合物の合成例は極めて少ない。しかしながら、光学活性Nキラル化合物そのもののキラル識別能を検討するためには、極めてシンプルな構造を有する光学活性Nキラル化合物を合成する必要がある。 本研究では、窒素原子を環上に配置し、立体反転を高度に抑制した構造を有するかざぐるま型の分子をデザインした。この分子は、窒素原子上の反転が起こらないならば、一対のエナンチオマーしか存在しないという構造的特徴を有する。目的分子はラセミ体を合成した後に光学分割することにより、活性体を入手した。 安価なフタルイミドを出発物質として、6段階、全収率19%で目的化合物の前駆体を合成した。更に、様々な合成ルートの探索を行った結果、基本骨格に対して2つのアルケニル基を導入して、閉環メタセシス反応(RCM)を行った場合に反応が進行し、収率77%で環化生成物を得ることに成功した。得られた数種の立体異性体の混合物をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により精製した後に、分取用光学活性カラムを用いて光学分割した。その結果、光学活性な主生成物のE体、副精製物のZ体を純粋に単離することに成功した。元素分析によりその純度はいずれも計算値と一致した。更に、それぞれの化合物の単結晶X線構造解析に成功し、E体については、その絶対立体配置を決定するに至った。E体について-90℃から170℃まで温度可変NMR測定を行ったところ、ピーク分裂に大きな変化は見られず、この温度範囲で反転体はほとんど存在しないことが示唆された。かざぐるま型不斉を有する新規Nキラル化合物の創製に成功した。
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