研究課題/領域番号 |
17750041
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 亮 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (70243889)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 三脚型キラルアミン / フェノール官能基 / メソ型環状酸無水物 / 不斉加アルコール分解 / 不斉非対称化 / 不斉有機触媒 / 酸化的不斉カップリング / クロスカップリング / ビアリールカップリング / 不斉空気酸化 / 2-ナフトール / ビナフトール / 触媒的不斉合成 / サレンルテニウム錯体 |
研究概要 |
フェノール誘導体を主官能基とする新しい不斉触媒の開発を目指し、本研究を立案し遂行した。所期の目的は達成されなかったが、前年度に見出した新規アミノフェノール誘導体[(2S,6S)-2,6-bis(o-hydroxyphenyl)-1-(2-pyridylmethyl)piperidine](1)を触媒とするメソ型酸無水物の不斉加メタノール分解をさらに詳細に検討し、下記に述べる興味ある知見を得た。 反応条件を精査し、トルエン中で1を5mol%およびメタノールを20当量用いると反応は室温で円滑に進行し(化学収率53%〜99%)、様々な基質から望みの生成物であるジカルボン酸モノメチルエステル(ヘミエステル)が良好な不斉収率(52%ee〜74%ee)で得られることを明らかにした。さらに、化学収率は幾分低下するが、反応を低温(0℃〜-25℃)で行うとエナンチオ選択性は最高81%eeまで向上した。この反応では1のピペリジルアミン部位が触媒活性点となっているが、フェノール性水酸基もまた触媒活性および不斉誘起の双方に強く関与している。その結果、1はこの種の反応の触媒として広く用いられているシンコナアルカロイドを用いる条件では反応しない幾つかの剛直な基質にも適用可能であり、触媒量も1mol%まで軽減可能であるなど、従来触媒には見られない特徴的な触媒機能を発揮する。また、本反応を利用して天然物の合成中間体の効率的合成を達成した。これらの成果について国際学会(The Fukuoka Symposium,2006)および日本化学会第87春季年会(2007)で発表すると共に、論文に纏めて投稿中である(Synlett)。なお、1を配位子とするチタン錯体の合成とキャラクタリゼーションに関する研究成果を論文に纏めて発表した(J.Organomet.Chem.)。
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