研究課題/領域番号 |
17750090
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村橋 哲郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (40314380)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | パラジウム / 金属クラスター / 金属シート / 金属鎖 / 多環式芳香族化合物 |
研究概要 |
グラファイト、カーボン微粒子、カーボンナノチューブなどの"炭素"に担持されたパラジウムは、優れた水素化触媒として、実験レベルのみならず、工業レベルにおいても多用されている。さらに近年では、グラファイトとパラジウム金属のどちらも水素を大量に吸収する性質を持つことから、炭素-パラジウムを複合させたグラファイト層間化合物は水素吸蔵材料としても注目されている。これらの優れた特性に関連して、多数のパラジウム原子が、"炭素"上に結合した場合、どのような特異的構造や電子状態が形成されるのかに大きな興味が持たれる。炭素上にシート状の2次元金属構造が形成されたことを分子レベルで確認した例はパラジウムのみならず、全金属種を通じてまだ報告されていない。そこで、本研究では、分子レベルでこのことを実証すべく、パラジウムの2次元シートを"炭素配位子"上に持つ分子の創製を目指して研究をおこなってきた。 平成18年度では、2次元パラジウムシートをバインドする不飽和炭化水素配位子として、7員環型芳香族カチオンであるトロピリウム塩を用いて検討を開始した。その結果、クロライド塩存在下、トロピリウム塩がパラジウムゼロ価錯体と速やかに反応し、シクロヘプタトリエニル配位子によってパラジウム3核シートが挟み込まれた新型のサンドイッチ錯体が生成することを見出した。生成した錯体の構造はX線構造解析により決定した。また、多環式芳香族化合物であるナフタセンを配位子として用いた検討もおこなった。その結果、5核パラジウムシート構造がナフタセン配位子間に形成され、ビスナフタセンパラジウム5核錯体が生成することを明らかにした。この生成物についても、X線構造解析によりその構造を決定した。 このようにして得られたビスシクロヘプタトリエニルパラジウム3核錯体、およびビスナフタセンパラジウム5核錯体は、平行に配置した2つの不飽和炭化水素配位子間に単層金属シート構造を持つ錯体の最初の合成例であり、金属錯体における重要な新構造概念をもたらすものである。
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