研究課題
若手研究(B)
溝呂木-ヘック反応は有用な炭素-炭素結合形成反応の1つであり、関連するStilleカップリングや鈴木-宮浦カップリング等と共に医薬・天然物合成などにも利用される実用性の高い反応の1つである。本研究では、申請者が既に合成に成功しているルテニウムとパラジウムの2つの金属を同一分子内に持つ二核錯体(以下、二核錯体)が溝呂木-ヘック反応活性を示すとの知見を元に、反応条件の最適化や基質適用範囲の探索、反応メカニズムの解明、二核錯体の化学修飾による活性向上を目指している。二核錯体は触媒に使用するには充分な溶解度があるものの、中間体合成を行うための錯体化学を行うには溶解度が低いことがわかったため、溶解度の改善を目指してルテニウム周りに用いているターピリジン配位子に種々の置換基を導入した。その結果、導入した置換基に応じて溶解度を改善することに成功した。また、ターピリジン以外のホスフィン配位子を持つ類似の錯体の合成にも成功した。二核錯体の架橋配位子の部分構造となるビピリジンやピリジルピラゾレートなどの二座配位子を合成し、各種パラジウム錯体を合成した。溝呂木-ヘック反応活性について検討したところ、いずれも活性を示したが、中でもピラゾレートを有する配位子では高い活性を示した。また、ビピリジンを配位子とする系で、中間体の1つに対応する0価パラジウム錯体を合成して、活性を比較したところ、元の触媒の活性を再現したため、反応サイクルにおいて0価を経由している可能性があることが示された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Inorganic Chemistry 45(20)
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