研究概要 |
平成17年度には、マイクロリアクター燃料電池の開発を行うに際し、触媒設計・開発の指針とするため、新しい燃料である「有機ハイドライド」の電極反応機構を各種電気化学的測定、ガス分析・分光手法を用いて解析した。また水の電気分解とアセトンの水素化を組み合わせた充電技術の開発を行い、リチャージブルな燃料電池開発の基礎研究を行った。更に直接型燃料電池のみではなく、脱水素反応装置を小型化したマイクロ水素製造装置と通常型の燃料電池を組み合わせたシステムの開発も視野に入れ、マイクロリアクターの開発もあわせて行った。まず白金を中心とする高活性触媒調製・キャラクタリゼーションを行い、活性炭担持白金触媒および白金バイメタリック触媒を用いて各種電極触媒を新たに調製し、XRD, XAFS等による分光分析およびTEMにより触媒の粒径、分散度、電子状態などの評価を行った。また、水の電気分解と「有機ハイドライド」の水素化反応を組み合わせて電流-電圧特性(充電反応)を観測し、その際の触媒の性能を評価した。アセトンを還元水素化するカソード触媒の影響を調べたところ、カソード触媒として白金黒を用いた場合と、炭素担持触媒を用いた場合では、水電気分解および水素酸素系燃料電池運転においても白金黒触媒の場合で過電圧が大きく、セル電圧値の増大もしくは降下が大きいという結果となることを明らかにした。マイクロリアクターによる脱水素反応実験では、まずリアクターの開発により従来法(マクロスケールリアクター)に比べて単位触媒あたりの水素生成速度を約2倍以上に向上させることに成功するとともに、白金触媒のみではなくニッケルやモリブデンカーバイドを触媒に用いて白金の有効利用率を高め、今後の白金使用量の削減の指針を得た。
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