研究課題
若手研究(B)
細胞内の生体分子の動態や局在などのネットワークを調べることはポストゲノム時代の最重要課題の1つである。この課題を網羅的・効率的に進めるためには、生体分子を可視化させる蛍光標識技術の開発が必要である。蛋白質分子の蛍光標識法としては、目的蛋白質の末端にGFPなど蛍光蛋白質を結合させる方法が現在一般的であるが、大きな蛍光蛋白質を融合することにより目的蛋白質の本来の性質が損なわれる可能性も高い。そこで、蛋白質の機能に極力影響を与えない小さな蛍光基の導入が望まれる。本課題では、細胞内で蛋白質中の望んだ部位に蛍光基を導入する方法を開発することを試みた。本方法は細胞内の蛋白質合成装置を利用し、蛍光基をもつアミノ酸を直交化tRNAに結合させ、mRNA上のコドン特異的に蛋白質に導入するというものである。この方法では、蛍光部位は小さな蛍光基としてアミノ酸一残基分のスペースに導入するため、蛋白質の機能を損なう可能性は少ない。本年度は、細胞内翻訳装置により蛍光アミノ酸を蛋白質に組み込む方法を検討した。蛍光アミノ酸に対応するコドンとしてアンバーコドンを用い、アンバーコドンを含む蛋白質遺伝子(ここではDsRed遺伝子)を発現ベクターに組み込んで、哺乳動物細胞(ここではCHO細胞)に導入した。その細胞に細胞内のARSによりアミノアシル化されるようなサプレッサーtRNAをリポフェクション法により導入したところ、DsRedの赤色蛍光によりアンバーコドンのサプレッションが観測された。細胞外で蛍光アミノ酸(Bodipy-FL-AF)を結合させたサプレッサーtRNAを用いた場合も、アミノアシルtRNAのエンドソーム経由での細胞内導入が確認された。主にエンドソーム内にアミノアシルtRNAが固まって強い蛍光を放っていたため、これを改善するような導入法を今後さらに検討する。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (9件)
IUBMB life (in press)
J.Biosci.Bioeng. 102
ページ: 511-517
110006196944
Nucleic Acids Research 34
ページ: 5291-5299
Biochemical Journal 399
ページ: 249-256
Biochemistry 45
ページ: 10920-10927
蛋白質核酸酵素 51・5
ページ: 399-407
40007273470
Analytical Biochemistry 348
ページ: 321-323
FEBS letters 579
ページ: 6769-6774
Methods 36
ページ: 270-278