研究課題/領域番号 |
17750185
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能材料・デバイス
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
野原 愼士 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (40326278)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 電気二重層キャパシタ / 酸性高分子ヒドロゲル電解質 / ポリビニルアルコール / グルタルアルデヒド / 硫酸水溶液 / 電気伝導率 / 自己放電特性 |
研究概要 |
本年度の研究実績の概要は次の通りである。 1)前年度は、4M硫酸水溶液を大量に保持する均質で透明な酸性高分子ヒドロゲル電解質薄板の作製に成功したが、本年度はまずこの電解質について種々の特性評価を行った。その結果、この電解質は電気二重層キャパシタ(EDLC)の作動電位範囲では、電気化学的に安定で、また常温で密閉容器に数ヶ月間保存しても変色、相分離などを起こさず、化学的な安定性にも優れることがわかった。さらに、この電解質は4M硫酸水溶液に近い非常に高い電気伝導率(室温で約0.6Scm^<-1>)を示すとともに、電気伝導率の活性化エネルギーも非常に近い値(8.9kJmol^<-1>)であることがわがり、このことから硫酸水溶液とイオン伝導機構が類似していることが考えられる。 2)4M硫酸水溶液を保持する高分子ヒドロゲル電解質薄板を用いたEDLCの電気化学特性を評価した結果、サイクリックボルタンメトリーおよび定電流での充放電試験において、前年度までに作製した1M硫酸水溶液を保持したものに比べて大きな静電容量(1.2〜1.3倍)を示し、また高率放電試験においても、測定したすべての電流値でより大きな放電容量を示した。以上の結果より、ヒドロゲル電解質中の硫酸を4Mのような高濃度にすることは、EDLCの特性向上に必要不可欠であることが明らかとなった。 3)前年度に示した酸性高分子ヒドロゲル電解質薄板により自己放電が抑制される原因を調べるために、不純物のFeイオン種の影響について検討した。その結果、硫酸水溶液中のFe^<2+>の濃度を減少させることにより、自己放電が抑制されることがわかった。また、自己放電反応の律速段階は、正極では電荷移動過程(例えばFe^<2+>の酸化反応)で、負極では拡散過程(例えば正極で生成したFe^<3+>などの還元反応)であることが示唆された。高分子ヒドロゲル電解質による活性炭からのFeイオン種の溶出、拡散の抑制が、自己放電抑制の一因であることが強く示唆される。
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