研究課題/領域番号 |
17750194
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業材料
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伴 隆幸 岐阜大学, 工学部, 助教授 (70273125)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 酸化亜鉛 / 化学溶析出法 / プラスチック基板 / 薄膜 / 低温結晶化 / ソフト溶液プロセス / 化学浴析出法 |
研究概要 |
亜鉛成分が溶解した水溶液に種々の基板を浸して60℃で加熱することにより、その基板上での酸化亜鉛の結晶化挙動を観察した。昨年度までに、亜鉛酸イオンが溶解した塩基性の水溶液を、安定化剤を利用して調製し、それらの水溶液から種々の形態の酸化亜鉛が得られることを明らかにした。今年度は、その水溶液にポリエステル系のプラスチック基板を浸して加熱し、その基板上への酸化亜鉛膜の作製を試みた。塩基性水溶液中での加熱により、ポリエステル基板の表面に、エステルの加水分解によりカルボン酸が生成し、それが酸化亜鉛の不均一結晶核生成サイトとして作用することを期待した。しかしアクリル板,PET,ポリカーボネートいずれの基板上でも、得られた膜は大きな酸化亜鉛結晶からなる凸凹した不均一なものであった。これは、基板上での酸化亜鉛の不均一核生成速度より、結晶成長速度の方が速いためであり、均一な膜を得るには基板上での不均一核生成速度がもっと速い必要がある。実際に、あらかじめ酸化亜鉛薄膜をコートして、不均一核生成が起こりやすくしたガラス基板を用いると、その上に配向した均一な酸化亜鉛膜が得られた。ポリエステル基板を用いた検討では、基板表面でのエステルの加水分解は確認されたものの、それにより生じたカルボン酸が核生成点として作用していなかったと考えられた。カルボン酸が核生成サイトとして作用しなかったのは、溶液が強アルカリ性であり、カルボン酸イオンより水酸化物イオンが優先的に亜鉛イオンに配位するためと考えられた。これらの結果より、ポリエステル基板表面をあらかじめ加水分解処理した後、亜鉛成分が溶解した中性に近い水溶液を用いて同様の酸化亜鉛析出反応を行うなどの工夫が、プラスチック基板上で比較的均一な酸化亜鉛膜が作製するには必要であることが分かった。
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